ある魔女が死ぬまで -終わりの言葉と始まりの涙 坂著 KADOKAWA
感動はしたいけれど重たい話は嫌だ。
そんな方におすすめなのがこの一冊です。
17歳の誕生日に、魔女の師匠からいきなり1年後に死ぬことと、死を回避するためには1000粒の嬉し涙を集める必要があることを伝えられたメグ。
死がからむので、重たい話になるのかなと思いきや、このメグがいい感じにアホでドジでおもしろい。
表紙裏のカラーページで鳩が豆鉄砲を食らったような顔のメグのイラストが載っているのですが、その印象そのままに物語が進んでいきます。
小さい子供にからかわれたり、メグ・ラズベリーという名前を変に略されてズベリーと呼ばれたり、たまにメグ自身がオヤジっぽい話し方したり……
1年後死ぬかもしれないのにもっと緊張感持たんかーい!と笑いながらツッコミを入れつつ、どんどん読み進めていきました。
一方で感動するポイントをしっかりと押さえられていますね。
メグが関わった人の死と向き合うことで、自分も生きていかなきゃと思い、1000粒の嬉し涙を1年で集めるという難題に挑むところに素直に感動できます。
メグが暮らしているラピスという街の住民たちが、みんなメグを愛しているのにもほっこりしますね。
さらには、メグが師匠であるファウストもちゃっかり救っているところもいい。
もっと愛されてほしいと思えました。
とても優しい物語でした。