ラノベ考察紀

広島在住のラノベ読み。このラノ2022にコメントが掲載されました! おもしろかったラノベをどんどん紹介します。

ブービージョッキー!! 有丈ほえる著 GA文庫

このライトノベルがすごい!2023の投票を終えました。

5作品の選定がとても大変で、コメント付けも含めてかなり脳のエネルギーを使いました。

無事投票を終えて、ほっと一息ついたのですが……

棚の積ん読を眺めたときに思ったことがあります。

――この中に、投票期間内に読めなくて投票しなかったのを後悔する作品があるのでは?

 

ありました。

さっそく投票しなかったのを後悔した作品にぶちあたりました。

それがブービージョッキー!!です。

19歳という若さで日本ダービーを制し、「ダービージョッキー」の称号を勝ち取ったものの、その後勝てなくなって「ブービージョッキー」と揶揄されることになった競馬騎手風早颯太の物語です。

そんな風早颯太の前に、美人馬主美作聖来が現れます。

彼女が風早颯太に競馬で騎手になってほしいと頼み込んだサラブレッドの名は、セイライッシキ。

セイライッシキはとても気難しく、気性が荒く、騎手や厩舎で馬の世話をする厩務員を手こずらせる存在で……

 

とても情熱的で前向きになれる作品でした。

風早颯太はレースにおけるトラウマで勝てない上に、セイライッシキはその性格ゆえにレース中にトラブルを起こす。

そんな競馬界としては決定的なものが欠けている人馬がぶつかり合い、成長していくところに心が震えます。

そして風早颯太が勝てなくなった理由である、レース中のトラウマが、彼に克服しなければならない壁として現れる。

その壁をどう乗り越えるのか、目が離せません。

 

そして、ヒロインとなる美作聖来が、なぜ風早颯太にセイライッシキを連れて現れたのか。

その理由や、そこに至るまでのエピソードは、感動ものでした。

美作聖来の子供時代から変わらずにきた気持ちは、本作で絶対に外せないポイントのひとつといえます。

 

最後のレースのシーンも圧巻の一言です。

風早颯太がライバルと鎬を削るところは、最後まで何が起きるかわからず、ページをめくる手が止まりませんでした。

 

笑えるコメディー要素はもちろんですが、コンプレックスの克服や、打ち勝つべきライバルの存在、支えてくれる仲間、それぞれの職業の誇り、そして負けられない戦い……

私が小説を読む上でほしいと思っている要素、そのすべてを180%満たしていました。

 

この作品をこのラノに投票しなかったのは痛いです。

一生の不覚……!

もっと早く読むんだった……!