千歳くんはラムネ瓶のなか第7巻 裕夢著 ガガガ文庫
チラムネは、狂う。
そう形容しないわけにはいかない第7巻でした。
夏休みが明けて、9月。藤志高校では、体育祭や文化祭などが連なった、藤志高祭に生徒たちは浮き立つ。
千歳朔たちは出し物であるクラスの演劇の企画立案に加えて、同時期に行われる応援合戦に向けて練習に励むようになる。
第6.5巻で、チーム千歳の女子や、今後の朔との関係が気になる明日姉はそれぞれの夏を過ごし、思いを新たにこの巻を迎えていて、前半は清々しさもある内容でした。
文化祭の出し物を考えたり、実行に向けて準備や練習をしていく様子は、まさに高校生ならでは。
私は社会人なので、懐かしいのひとことです。
それぞれの人物の気持ちや、人間関係が安定してきたので、今回はほのぼの巻になるのかなと思いきや……
それを狂わせる存在が現れました。
1年生の朔たちの後輩である望紅葉。この女の子が、朔たちが参加する応援団に加わり、朔たちの応援の練習に加わります。
最初はただの1年生の、スポーツ活発だけど素直でかわいい女の子ですが、徐々に徐々に本性を現して朔の気持ちを奪おうとしていくのがオソロシイ。
千歳朔の友人であるという立場に甘えて、なかなか気持ちをはっきりさせずにいる優空や陽、悠月、さらには明日姉たちを糾弾し、彼女らのポジションを奪おうとする姿は、狡猾そのものでした。
第6.5巻までで積み重ねてきたものを破壊する威力があります。(だから第6.5巻を読まないとダメですよ)
7巻目にしてとんでもない人物が登場しましたねチラムネは。
ただ、望紅葉が1年生の立場の弱い後輩でありながら、先輩しかおらず、彼女自身にとっては強敵の集まりであるチーム千歳の女性陣に単身に殴り込みをかけるという点に、怖いと同時に魅力を感じました。
強さを感じさせる女性キャラですね。
望紅葉の原動力は何なのかが気になります。
また、望紅葉という存在に、明日姉たちはどう対抗していくのか。
これは第8巻が1000ページ越えても買うしかないですね。
なお本作は、私のこのラノ2023投票作品です。
男性キャラ部門では千歳朔に、
女性キャラ部門においては、チラムネをとことんかき乱した望紅葉に、
またイラストレーター部門では、本作に登場するキャラたちの表情の変化をエモく激しく描かれたreamz先生に投票しました。